教員が足りないって? 採用に動画PRを活用している学校法人と自治体の事例を徹底紹介

動画で採用PRをしているのは民間企業だけではありません。近年、教員採用の世界でも採用動画を制作している自治体が増えています。少子高齢化で子どもの数は減っていますが、実は全国の自治体が教員不足に悩んでいます。
そして、各自治体がさまざまな工夫で教員採用試験の受験希望者を集める取り組みを行なっています。例えば、東京都は全国で説明会を開催し、地方の人材に東京都の教員採用試験に興味をもってもらう取り組みを行なっています。
動画PRも、教員採用に興味をもってもらう取り組みの一つとして取り組んでいる自治体が増えてきました。いまや採用動画を活用しているのは民間企業だけではありません。
この記事の内容は、
動画で教員採用PRをしている自治体が増えている
実際に動画で教員採用PRをしている事例をご紹介します。自治体によって動画PRにも個性があり教員採用の関係者にも、教員に興味がある学生にも参考になるのではないでしょうか。
徳島県の教員採用動画PR
徳島県の教員採用動画はとても本格的です。
教員採用だけでなく公務員採用全体で「VS東京」というコンセプトで優秀な全国の人材に徳島県の魅力をPRする動画を配信しています。本格的なつくりのPR動画で、徳島県で活躍する教員のインタビューや自治体としての取り組みが伝わる内容になっています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000018363.html
(PR TIMES)
札幌市の動画PR
政令指定都市の札幌市も若手教員のインタビューを中心にしたPR動画を制作しています。教員に興味はあるけど先生になるのが不安だと感じている層に、若手教員の生の声を届ける内容になっています。
堺市の動画PR
大阪府の政令市、堺市でも教員採用で動画PRしています。堺市のPR動画は座談会形式です。
特に堺市は小中一貫教育や堺市ならではの教育方針を強く打ち出しており、自治体としての取り組みも動画内でわかりやすく説明しています。
東京都の動画PR
東京都でも「東京の先生の一日」という題でPR動画を配信しています。先生の1日や授業の様子が動画を通して分かるつくりになっています。
地方の学生には東京都の学校の様子はなかなかイメージが湧きません。しかし、動画を通して実際に働いている人の様子が伝わるため、地方の受験者も都内働くイメージがもちやすくなるのではないでしょうか。
宮崎県の動画PR
宮崎県の動画PRでは一人の先生にスポットを当てながら、宮崎県の初任者研修の仕組みもあわせて解説する流れになっています。
教員不足が全国で深刻化している
教員不足が全国で深刻化しています。
2000年には、競争率13倍の採用試験も年々下がり続け、2020年には5倍を割りこみました。特に、小学校の競争率は3.2倍にまで下がっています。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20191101018.pdf
教員不足に関するニュースは、全国で報道されています。例えば、富山市では始業式を迎えても担任が埋まらない、広島県でも2年生の理科と1年生の国語の4月分の授業が実施できなかったという問題もとりあげられています。
民間企業の売り手市場が影響
教員採用試験の倍率が下がっている背景には民間企業の売り手市場が影響しています。
不景気の時には、学生が安定を求めて公務員を目指す傾向が強くなります。しかし、近年は人手不足で民間企業も自治体も若手の採用に熱心な売り手市場でした。
不足分を非常勤講師などで補うことも不況の時は可能でしたが、民間企業の採用が好調ならば非常勤の教員を集めることも難しくなります。
公務員も民間も関係なく若手の採用活動でそれぞれ創意工夫をして取り組まなければ、いけない時代になりました。
団塊世代の大量採用されていた年代の退職
教員の母数が多かった団塊世代の退職が近年、相次いで起きたことで急激に現役の教員が減ったことも、教師不足の原因になっています。また、就職氷河期と言われた世代の採用を絞っていたこともあり特に中堅世代の教員も少ないため新人の先生のフォローが難しい現場もあるようです。
教員の多忙化も深刻
教員に求められることが昔に比べて増えています。OECDの調査によると、日本は1週間当たりの教員の勤務時間が世界でもっとも長い国であるという結果もでています。授業以外にもさまざまな事務仕事や保護者対応など現在の日本の教員が抱えている仕事が多く、学生も教員の労働環境は厳しいというイメージが強くなりました。
教員に興味があっても不安を感じる学生が増えるのも無理はありません。
動画PRなら全国から受験者を集めるきっかけづくりができる
動画PRのメリットは以下の3つです。
・全国からアクセスを集められる
・実際に働いている人の声や現場の様子を写真やテキストよりも臨場感のある形で伝えられる
・一度、動画を制作すれば後は公開するだけ
全国各地で説明会を開催しても学校の教室の様子を伝えることは、なかなかできません。しかし、動画ならば実際に教室の様子も映せます。また、テキストや写真だけでは伝わない学生と学校現場とのギャップを埋める力も動画にはあります。
全国で若い人材をとりあう人手不足の時代、民間企業に限らず職場の魅力を学生に届ける工夫が必要なのではないでしょうか。
まとめ
民間企業だけでなく教員採用の世界でも採用動画でPRする自治体が増えています。特に、団塊世代の退職や民間企業の売り手市場に伴い教員採用の世界でも人手不足は深刻化しています。しかし、自治体の中には動画PRをはじめさまざまな工夫で教員として働くことの魅力を届ける工夫をしているところもあります。
意欲のある若い世代を集めるのに動画PRは有効な手段のひとつではないでしょうか。