動画選考をもっと多くの企業が選考に導入すべき理由を実例を交えて紹介

政府の就活ルールが定めた企業の説明会の解禁である3月1日から約1ヶ月余が過ぎました。説明会が中止あるいはオンライン開催となったり、当初は大きな混乱が見られましたが、オンライン開催のノウハウもそれぞれに蓄積しつつあるようで、幾分落ち着きが見られるようになってきました。
とはいえ、企業も個人もまだまだ不安の渦中にいることは変わりません。

2020年の就活の新潮流の一つが「動画選考」です。採用活動そのものがオンラインにシフトしている現状ではなおさらそれを強く主張することになりました。動画選考の仕組みとしては、あらかじめそれぞれの会社から指定されたスマホアプリを使い、30秒や1分など短時間で自己PRや志望動機などを話してもらうというもの。人事担当者はその動画を見て、実際に1次面接に呼ぶべき人材かどうか判断の材料にすることになります。

今回はその背景を振り返りつつ、動画選考を導入すべき理由まで解説していきます。

慢性化する人材不足に適応したリクルートビジネスとリファラル採用の振り返り


企業が人材を採用するのにかかる費用は、1人あたりで計算するとアルバイトが約5万円、正社員は50万円前後と言われています。俗に「採用コスト」と言われている数字です。企業の知名度や募集方法によってももちろん変わるのですが、中堅規模の企業が求人広告で中途採用をする場合、年間で 250万円程度の予算をかけるのが平均値です。

まずその事実が大前提となりますが、日本は若年人口が急速に減少しているという現実がその採用に暗い影を落としています。

2000年を100としたとき、20代の人口推移(内閣府統計より)

2010年:100.0
2015年:91.0
2020年:87.8
2025年:84.5
2030年:79.7
2035年:75.2
2040年:68.4

「リファラル採用」の定着の背景は

みなさん既にご存知のとおり、人材の定着率が低い「飲食業界」では既に在日外国人を頼らざるを得ない状況が始まっています。IT業界でも、高度なスキルを持つエンジニアの人材難が、事業の成長スピードを鈍らせる要因になっています。財務体質が強い企業であれば、まるごと人材を抱えるということでその解決を見出そうとしているのが、昨今のM&A事情という見方をすることもできるのですが、もちろんそれは現実のほんの一部でしかありません。

日本の中小企業では、高額の採用コストをかけられないことから、独自の工夫によって優良な人材を獲得していくことが、事業を存続させていく上での鍵になります。ハローワークは無料で利用できるのが利点ですが、応募してくる人材の質が良くないことがそもそもの懸念として語られ続けています。だからこそ、「友人、知人による紹介」は良い人材が集まりやすく、「リファラル採用」という言葉でいまでは一定の信頼できる手法として定着してきました。

その背景は、当然ソーシャルメディアで「友達」が繋がりやすくなっているという環境の変化が大きいでしょう。欧米ではSNSを利用した紹介採用(リファラル採用)の大規模な事業化が進んでいます。実際に、外資系IT分野企業の人材獲得ルートに限れば、求人広告よりも紹介採用(リファラル採用)のほうが主流です。

ソーシャルリクルーティングの手法として、リファラル採用の仕組みが普及しはじめたのは、2012年頃からのこと。もともと多くの企業では従業員向けの人材紹介プログラムというものが存在していました。「リファラル採用」と呼ばれる仕組みは、いわばそのアップデート版です。

令和からの新たな価値観とZ世代の生き方〜アフターデジタル世代のための社会づくり

時代が昭和・平成から令和へと変わり、社会で生きる人々の価値観や生き方のスタイルに大きな転換期が訪れているのだと、まさにこのコロナ恐慌が訪れるのでないかという不安の中でいまを生きる大勢の人々が実感しているのではないでしょうか。

平成(1989-2019年)が終わるとき、良くも悪くも昭和の高度経済成長~バブルの影響から、ITテクノロジーがどんどん進化してきた時代であることが繰り返し語られました。パーソナルコンピューターの登場、インターネットの普及、携帯電話からスマートフォンへの進化が社会を大きく変えていきました。

その一方、ドラマ『半沢直樹』シリーズで背景となっているような「ロスト・ジェネレーション」世代と呼ばれる就職氷河期世代はいまもって社会に不安の一部として傷跡を残しています。アルバイトやパートなど非正規雇用者の数は、平成元年(1989)には817万人だったのが、平成30年(2019)には2,110万人にまで増加しています。平均年収で語ると、非正社員(175万円)、正社員(497万円)という300万円以上の差があります。

「失われた30年」といっても過言ではない現実です。

こうした社会背景の中、令和の時代には新しい生き方や働き方の価値観が築かれていかなくてはなりません。
その中心となるのは、平成以降に生まれて、令和の時代に新社会人となる世代。彼らはマーケティング業界が注目するジェネレーションZ(Z世代)と一致します。Z世代は、生まれた時からインターネットがあり、中学時代からSNSやスマートフォンを使い慣れていることにより、対人関係の築き方、消費行動やライフスタイルなど多方面で新たな感覚を持っていると言ってよいでしょう。

「ソーシャルネイティブ」という言葉があります。Z世代のコミュニケーションやライフスタイルを表す言葉ですが、社会環境の変化を表す言葉として「アフターデジタル」(常時デジタル化された社会)が生まれています。

この考え方で著しく社会成長を促したのが中国でした。日本は、残念ながら大きく出遅れています。一つには、ビジネス構造・組織構造の変革がまったく進みませんでした。テクノロジーの進化だけでは、社会は変わらないという事実を改めて認識する必要があるかもしれません。

日本でもAIによる評価制度は次第に導入されるようになっていたり、テクノロジーそのものは確かに存在しているのです。少し古い話題ですが、iPhoneが登場したとき、あの鏡面加工が日本の中小企業の技によるものだと世界中で喧伝されたことを誇りに感じる日本人は大勢いたはずです。

学歴に頼らない採用の仕組みと多様性社会との信頼構築を動画選考で

ミレニアル世代は、多額の学生ローンを抱えたまま社会に出たことで苦しんでおり、新たなスキルの習得に自己投資をする余裕がない、という悩みを抱えていました。デジタルネイティブであるZ世代は、その事実を知っています。だから、大学で学ぶ知識はオンラインでも習得することが可能であり、大学の学位は「高年収を稼ぐ必須条件ではない」と、「できる人材」こそそのように考えている人たちが多い。

これまでの世代と同じ生き方をしていたのでは「自分の親よりも裕福な生活はできない」という、Z世代なりの予測があるはずです。現代の若者が同じ規模の家を購入することは、親と同じサラリーでは難しいということ。また、幼少期に雇用制度の崩壊を見ているため、企業の終身雇用や退職金制度にはまったく期待していないこと。さらに、いま現在進行で進む国家の対策に失望と落胆とともに、「自分で未来を築くこと」ことが一番の価値であることと考えること。80年代にも「ミーイズム」と括られる若者現象は存在しましたが、Z世代の考え方生き方は異なります。

実際に、日本でも20代や10代でYoutuberやFX投資などで億単位の年収を稼ぐ(ネオ)起業家が現われています。かつては、会社に就職せずに新しい生き方を目指すことが否定されたものですが、親世代が意欲も活動も貧しくなっているなかで「好きなことで生きていく」ことが明確に評価される社会へと変化は既に始まっています。

現在では、ブログシステムがより洗練され社会に根付き、少し検索すれば「個性的な生き方」がたちどころに見つかります。多様な価値観や生き方を認め合いながら形成されていく社会構造は超多様性社会(スーパーダイバーシティ)と呼ばれ、誰もが働きやすい・生きやすい社会にすることが世界中で模索されてもいます。

多様な価値観や生き方が認められる時代であればこそ、ビジネスに関わるすべてのステークホルダー(従業員、取引先、株主/投資家、顧客、地域社会など)を幸せにしていくことが、適正な利益を得るための基礎となるはずです。小手先の広告手法やマーケティングテクニックで売上を伸ばせる時代は終わり、ユーザーにとって(結果的には誰にとっても)本当に良い商品・良いサービス、良い企業を取捨選択していく時代が始まっているということではないでしょうか。

動画選考を採用に活用するということは

今回は、企業インタビューをエイベックス様にご協力いただきましたので、そちらもぜひご確認ください。
(上部にあります)

ここまで、採用活動のこれまでとこれからの背景を解説してきました。
企業の事業規模にかかわらず、成長のためにはより意欲的な人材が必要です。そうした人材を見つけるためにはどのような方法があるのでしょうか? ということをまず第一の問にして答えれば、その人物の「個性」の発見という使い古されたような言葉が見つかります。その個性の発見に、自己PR動画とは「使える」ツールであると言えます。3つポイントを挙げましょう。

人事担当者が書類だけでは判断できない魅力を知ることができる

動画選考(自己PR動画)での選考を行なうことで、エントリーシートや履歴書などの書類だけでは判断できない学生の魅力を人事部が判断できるようになります。
学生にとっては、魅力的な雰囲気や目に留まるポイントを動画で打ち出せれば、学歴や経歴などの情報に惑わされることのない自信が生まれることもあるはずです。

企業の採用業務の効率化が可能である

自己PR動画は、書類選考よりも短い時間で判断できますし、それは時間だけの効率化ということではなく、質的な効率化が図れます。
より積極的な企業では、AIが動画を判別しているという事例すらあります。

より志望度の高い学生を見つけられる

志望度が低い学生に時間をかけず、志望度が高い学生を丁寧に選考できる点も、自己PR動画による選考の大きなメリットです。
特に、人気のある企業にとっては、志望度の低い学生は、動画選考を導入することで、志望を取りやめる場合があるという事例が語られています。

まとめ

2020年の就活の新潮流の一つが「動画選考」です。採用活動そのものがオンラインにシフトしている現状ではなおさらそれを強く主張することになりました。動画選考の仕組みとしては、あらかじめそれぞれの会社から指定されたスマホアプリを使い、30秒や1分など短時間で自己PRや志望動機などを話してもらうというもの。人事担当者はその動画を見て、実際に1次面接に呼ぶべき人材かどうか判断の材料にすることになります。
本記事では、採用活動そのものも手法や考え方の変遷を振り返りつつ、これからの採用手法を考えつつ「動画選考(自己PR動画)」を導入すべき理由を探りました。

野田 収一

プロデューサー 1966年生まれ。 大学卒業後、書店店長を営みながらamazon.comの誕生を目の当たりにし衝撃を受けWebを仕事にしようと心に決める。 ...

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